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マリエ

マリエ

マリエ

作家
千早茜
出版社
文藝春秋
発売日
2023-08-25
ISBN
9784163917405
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「マリエ」のおすすめレビュー

直木賞作家・千早茜が等身大の女性を書いた新作長篇! 40歳目前で離婚。さまざまな恋愛と結婚の価値観に触れ、たどり着いた答えは

『マリエ』(千早茜/文藝春秋)

「結婚」とはなんなのだろう。広辞苑は「男女が夫婦となること」とそっけなく、ほぼ同じ意味の「婚姻」を引けば「一対の男女の継続的な性的結合を基礎とした社会経済的結合で、その間に生まれた子どもが嫡出子として認められる関係」とあり、そりゃそうなんだけど……とちょっと白けた気分になる。知りたいのはそんな四角四面の説明じゃなくて、もっとパーソナルな感覚の「結婚とは何か」ということ。『しろがねの葉』(新潮社)で直木賞を受賞した千早茜氏の最新長編『マリエ』(文藝春秋)は、作者の目線に近い主人公の等身大の冒険を通じて「結婚」のいろいろを考えさせられる物語だ。

 大手家電メーカーで管理職を務める桐原まりえは、39歳の誕生日に夫からの離婚の申し出を受け入れた。離婚の理由を「恋愛をしたいから」という夫。「相手はまだいない」と言い張る夫の不貞を疑うのにも疲れ果てて決意した離婚だったが、いざ別れてみたらその開放感は思いのほか楽しいものだった。誰にも属さず、好きな香水をつけ、好きな家具を揃え、好きなものを食べ……そんな「すべて自分の自由にできる生活…

2023/8/25

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マリエ / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

しみじみとした恋愛小説。最後の一文が小説としての格を上げている。萩尾望都の『A-A'』のエンディングに似ていると、ふと思う。主人公のマリエ(小説の視点人物でもある)は40歳を前にした女性。仕事の上では有能で、稼ぎも並み以上であるため、暮らしには全く困らない。そんな彼女の離婚後の様々な葛藤と揺れ動きを千早茜は見事なまでにリアルに描き出してゆく。葛藤の中心は自分の将来と、どう扱っていいのか自分でもわからない愛の行方だが、そこには現代の社会に依然として色濃く残る女性であることの理不尽さが横たわっている。

2024/01/19

starbro

千早 茜は、新作中心に読んでいる作家です。 離婚直後の婚活小説を初めて読みました。 世の中に何度も結婚して離婚を繰り返す人が存在していますが、学習機能はないのでしょうか(笑) S●Xと料理は一緒という考えを初めて知りました(驚) https://books.bunshun.jp/articles/-/8257

2023/09/15

のぶ

主人公の桐原まりえは離婚を経験し、清々しく生きる40歳の女性。そんな生活の中、ひょんなことをきっかけに自身の生活に寂しさを感じてしまう。そんな悩み多き状況を妙にクールに綴った作品集だった。内容だが、昨今取り沙汰される「女性の生き方」で、どれを否定するわけでもなく、どれにも共感しつつ自分の在り方を探しているのが好感を持てた。恋人を持ちながら、別に結婚相手を模索するまりえ。自分の幸せだから自分なりの生き方を貫く姿は、恋愛と結婚は別物だと思わせる千早さんのひとつの哲学をもの語っている気がした。

2023/09/08

hiace9000

千早茜は嗅覚小説家だ。その類い稀なる嗅覚は、ものの匂いだけを嗅ぎ分け判別するのではなく、自分や他人の心が発する見えない気配を嗅ぎ分け、文字に変えていく。透明な香りが内包する悪意や猜疑心、甘さや酸っぱさまでもを巧みに伝える文学的表現力はさすが。その筆力は様々な場面で揺れ、溢れだす登場人物の複雑な心情を、読み手の心の敏感な襞にぴたりと貼りつけ染み込ませてゆく。まりえの結婚観や離婚観、あるいは仕事観から人生観まで、一人の女性のリアルで等身大の日常に共感。そして自分もまた同じ感情を共有していることに安堵するのだ。

2023/09/14

Karl Heintz Schneider

「恋愛がしたいから別れよう」夫から突然そう切り出され、離婚したアラフォーのマリエ。7年ぶりの一人での生活は思ったより悪くなくて友達に誘われて結婚相談所に入会することに。そんな折、7歳年下の由井君と付き合うことになるが、しばらくして結婚相談所のことがバレてしまい・・・。少し前に読んだ同作者の「しろがねの葉」が難解だったのに比べて、本書はとても読みやすく、遅読の私でもほぼ一日で読了。「さんかく」「ひきなみ」そして「マリエ」。シンプルな仮名のみのタイトルの作品が私には合っているようだ。

2023/12/21

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