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推し、燃ゆ (河出文庫)

推し、燃ゆ (河出文庫)

推し、燃ゆ (河出文庫)

作家
宇佐見りん
出版社
河出書房新社
発売日
2023-07-25
ISBN
9784309419787
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推し、燃ゆ (河出文庫) / 感想・レビュー

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鉄之助

長く気になってはいたが、やっと読めた。序盤から、魅惑的な”匂い”に心を捕らわれる。祖父母の家のガレージに生えている「ドクダミ」。プールから上がった生徒から、「塩素のにおい」。「地面から立ち上がる、草と近所の猫の尿のにおい」。文字で埋めたノートが「てらてらとし、黒鉛のにおいで酔う」などなど、私には官能的に響いた。しかし、「推し」への共感が出来ず、また、あまり期待しすぎた結果か? 読み終わった後には、少し物足りなさが…。

2024/04/04

ソルティ

私にも推しがいて主人公あかりと同じように喪失感があるから自分の事のようだった。推し愛にはいろんな形があり私もあかりも違うとこがあるが「上手くいかない自分の代わりにうまくいってる姿を見せてくれる存在でありヒーロー」という目線は共通かも。推してることで自分を保てる。そんな自分が辛くもあり、少しかわいくもあり、推しって尊い笑。「見返りを求めているわけでもないのに、勝手にみじめだと言われるとうんざりする。あたしは推しの存在を愛でること自体が幸せなわけで、それはそれで成立するんだからとやかく言わないでほしい。」

2023/08/18

カピバラKS

●アルコールやギャンブルと同じように推し活も、病気として治療が必要な依存症の域に達することがある。主人公は推し依存症であるが、何かに沼ることで憂き世を忘れて生きる活力を得て、そこで歯止めが効かなくなることは誰しもあり得る。●さて、五十路の自分はつまらない人生を歩み、今はマッサージ屋で肩をほぐしてもらうこと、TRPGのニコニコ動画を観ること、ラジオで問わず語りの神田伯山を聴くことを、ささやかな楽しみに生をつないでいる。●推し活に燃えたひとときに一片の悔いも残していない若い主人公が、僅かに羨ましい。

2023/10/01

zero1

話題作を今になって読む。短文を用いたリズムが持ち味、というか生命線。ある時期にしか書けない作品。芥川賞で言えば綿矢りさを思い出す。言葉の選択や描写の巧みさは21歳とは思えない(後述)。📚️主人公はアイドルの真幸に夢中な女子高生。その【推し】がファンを殴ったという始まり。騒動をきっかけに【推し】は変わっていく。どれだけ好きで依存しようが、この世に変化しないものはない。作品に登場するピーターパンは、【万物は流転】と主人公の発達障害を兼ねる隠喩か。✴️選考委員の選評は後述。

2023/10/05

みこ

推していたアイドルがファンに手を挙げたことで世間からバッシングを受けたことが、平凡な女子高生の生活にも影響を与える。今時を狙ったタイトルや内容ではあるものの、何かを心の支えにして生きていくことについて今も昔も変わらない人の弱さを描いている。それでいて、やらかしたことに見合っているとは思えない世間の批判など現代社会の問題点もあぶり出している。一見バッドエンディングのようだが、主人公も推し同様に普通の一人の人間に生まれ変わる、そのために取り合えず蛹になったグッドエンディングと信じたい。

2023/08/27

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