綾野剛が選んだ1冊は?「打ちのめされても、瞼を閉じず世界を見つめ続けなければならない」
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2024年2月号からの転載になります。
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、綾野剛さん。 (取材・文=野本由起 写真=TOWA)
「怪物です」 そう言って綾野さんが差し出したのは、新井英樹さんの『ひとのこ』。 「敬愛する新井英樹さんの『ザ・ワールド・イズ・マイン』。出会った時から自分の中で核として生き続けている作品です。その新井さんが描いたとなれば、この作品も当然拝読させて頂きます」 描かれるのは、現代版キリストによる救済の物語。この世は“ごっこ”だとうそぶく男の生きざまが、読者の脳を激しく揺さぶってくる。 「頭の中がカオティックになり、打ちのめされました。ただ、それでも瞼を閉じずに、いかにして世界を見続けるか。そこで瞼を閉じるか否かで人生は変わるのではないか。その選択肢は我々に託され任されている。世界を見つめ行動し続けたいと、この作品を読んで強烈に感じました」 綾野さんにとって、マンガは「作品に従って読む…