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かか

かか

かか

作家
宇佐見りん
出版社
河出書房新社
発売日
2019-11-14
ISBN
9784309028453
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「かか」のおすすめレビュー

「かかを産みたかった。かかをにんしんしたかったんよ」史上最年少で三島由紀夫賞を受賞した宇佐見りんが『かか』で描き出す母娘の姿

『かか』(宇佐見りん/河出書房新社)

〈みっくん、うーちゃんはね、かかを産みたかった。かかをにんしんしたかったんよ。〉――小説『かか』(河出書房新社)の一節だ。かか、とは「おかあさん」のこと。19歳、浪人生の“うーちゃん”がかかについてひとり語りしていく同作を、執筆した当時、宇佐見さんも19歳。最年少での三島由紀夫賞受賞が全会一致で決まったのは、母を産みなおしたいと願う少女の魂の叫びを描いた、読む者の心と肉体に痛切に刻むような文体と、ほとばしる感受性ゆえだろう。

 かかは、自分の母親から「(姉の)おまけで産んだ」といわれて育ち、夫には浮気をくりかえされて離婚した。早逝した姉の娘をひきとれば、母は目に見えて彼女をかわいがる。心の救いは“えんじょお(天使)”さんである子供たちだけだが、娘であるうーちゃんいわく、かかは〈つけられた傷を何度も自分でなぞることでより深く傷つけてしまい、自分ではもうどうにものがれ難い溝をつくって〉しまった。だから今は、自分のために泣いて家族にあたりちらしてばかり。そんなかかをうーちゃんは、誰より愛しながらも憎み、かかのようになり…

2020/11/1

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かか / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

宇佐美りんの最初の作品。文芸賞と三島由紀夫賞を受賞。実に華やかなデビューである。この独特の文体と小説作方に、新しい文学の期待が集まったのだろう。その後の活躍をみても、その期待には十分に応えているだろう。本作の語りは一筋縄ではいかない。うーちゃんの一人称語りのようでありながら、それは三人称客観体と交錯しあう。そもそも、これは誰に語りかけているのだろう。「おまい」と呼び掛けられるみっちゃんだろうか。ここでもまたそれは錯綜するかのようである。それでは、内なる「かか」にか。また、ここで語られる「愛」は、いたって⇒

2022/10/04

starbro

先日の「改良」に続いて、第56回文藝賞受賞作のもう1作を読みました。熱量や勢いは感じるものの、20歳の現役女子学生ということもあってか、あまり世界観についていけず、115頁であっさり終了してしまいました。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000256.000012754.html

2020/01/23

寂しがり屋の狼さん

目の前で壊れていく母親。母と娘の関係は女と女の関係に…女性だからこそ血の繋がり、身体の繋がりを深く感じ取るのだろうか…方言なのか読み取りづらい文章も感情を書きなぐった感じを受け引き込まれてしまう。『愛』という字の中心には『心』があり、心を受けとることから愛が生まれると誰かが言っていたが、これもひとつの『愛』のかたちなのだろう。二十歳でこの作品を書き上げた著者には何が見えているのか、今後の作品も気になります。

2020/01/06

うっちー

才能は十分ですが、いかんせんわざと難しくしている感じです

2021/05/21

ネギっ子gen

<なまった幼児言葉のような言葉遣い>の独白文が綴られ、内容と軽妙にマッチ。離婚を契機に心を病み、酒飲んでは「しにたいよおう、しにたいよおう」と絶叫し暴れる、大好きだったかか(母親)に悩まされている、19歳の浪人生うーちゃんは、熊野へ旅立つ――。その地で、表紙の絵に呼応するかのように<かあかあ、とうーちゃんは叫びました。まぶたの裏に光がはじけ口のなかに濡れた髪が入ってきます。髪にからめとられた熱い舌を懸命に動かして、からすのようになきます>という末尾の文章が、切なく、愛しい……。静岡県生まれ。現在大学生。⇒

2020/10/07

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