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静かな生活 (講談社文芸文庫)

静かな生活 (講談社文芸文庫)

静かな生活 (講談社文芸文庫)

作家
大江健三郎
伊丹十三
出版社
講談社
発売日
1995-09-04
ISBN
9784061963436
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静かな生活 (講談社文芸文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

6つの短篇からなる作品集(1990年)。おそらくは初めての試みだと思うのだが、これらの作品群はすべてマーちゃん(大江家の第2子・長女の通称。なぜそう呼ばれるようになったかは本文中で語られている)の一人称語りとなっている。もっとも、太宰の『女生徒』や『斜陽』での語りほど徹底したものではなく、マーちゃんに仮託されつつも、文体は明らかに大江のものである。大江夫妻がカリフォルニア大学に滞在中の数か月間、3人で過ごした「静かな生活」(けっして静かではないのだが)が語られる。ここで大江は自己自身と、家族とを⇒

2019/01/19

KEI

仏文にも英文にも疎いので、引用される作家や言葉などを調べながらの読書で難解だった。作家である父が精神的に「ピンチ」となり海外へ逃避行?に母も同行する。その留守を障害者である兄イーヨーと弟オーちゃんとともに守る娘マーちゃんの語りで進む短編連作。先月起きた相模原の障害者施設での殺傷事件が頭に浮かび、「障害を持つ」という事をどの様に捉えていけば良いのかと考えさせられた。重藤さんの妻の言葉「自分をどんな事でも特権化しないで、なんでもない人として生きる…云々」、それぞれの尊厳を認める事ではないだろうか?

2016/08/30

相生

6つの短編連作集。やがては子供たちより先に死ぬ親の気持ちとして、特に障害をもったイーヨーを残して死んでいくことに対し、払拭しきれぬ鬱屈があったことが伺われるような。そんな作品。というのもこの物語は、大江の小説内の名前であるところのKが打ちのめされカリフォルニアへ妻と共に短期移住した後の、東京にある大江家をイーヨーの妹マーちゃんからの視点で描くことで成っているから。離れている二つがイーヨーを媒介に結びついてるのに純粋に感動する。森の谷間を常々書きながら東京に家を持った大江の人生などと並列すると深い気がして…

2016/09/02

Takashi Takeuchi

※1/31読了。読了から感想まで2ヶ月近く掛かってしまった※ 連作短編集。表題作が一番好き。知的障害を抱える兄イーヨーとの静かな生活を思い描く妹マーちゃんだけど、両親不在の中、弟を加えた兄妹の生活はなんだかんだ事件が起きて騒がしくなり。いろいろあっても穏やかな優しさ感じる。表題作が一番好き。

2023/01/31

Takayuki Oohashi

表題作と、伊丹十三の解説と読書案内だけを読みました。表題作だけしか読まなかった理由は、大江さんの世界観に馴染めなかったからです。大江家の家の前に水を嫌がらせに置く人間と、性的な痴漢事件を起こす人間を一緒だとする、大江さんの人間観に違和感を覚えたのです。自分の外敵と、社会的道徳に反する人間を同列に考える大江さんの頭の構造は、ややもすれば、エリート主義だと思います。僕は人間をもっと広い視野で捉えたいので、この本はここまでにしよう、と思いました。

2015/07/22

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