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夏の裁断

夏の裁断

夏の裁断

作家
島本理生
出版社
文藝春秋
発売日
2015-08-01
ISBN
9784163903248
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夏の裁断 / 感想・レビュー

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遥かなる想い

繊細な 女性作家の再生の物語である。 編集者 柴田の薄気味悪さと、女性作家 千紘の 怯えるような胸苦しさがいい。 本の裁断をしながら、千紘は過去のトラウマを 払拭できたのだろうか? 独特な心理描写が 不穏な 作品だった。

2018/10/03

おしゃべりメガネ

う〜ん、ボリュームの薄さとは裏腹になかなかヘヴィな内容の作品でした。とにかく「柴田」さんがかなりインパクトの残るキャラで、最初から最後まで彼の'謎の男'っぷりから目が離せなくなりました。作者さん的にはおそらく試験(実験)的な作風だったのかなと、勝手ながら想像してしまいます。自由奔放な男性に知らぬ間に'支配'されている女性の不思議な心理描写を巧みに綴る作者さんのちょっとした新境地をハラハラしながら楽しむ事ができました。全体的に決して明るい内容の作品とは言いがたいですが、今後の作風に影響のある作品なのかなと。

2016/09/06

風眠

んー・・・健やかではないよね、心が。過去のトラウマから逃れたいのに、そこに無意識に依存し、同じようなことを繰り返してしまう心理。もう自分を罰しなくてもいいのに、と思うけれど、それは、心が壊れるほどの経験をしたことがないから言える綺麗事なのだ。そして大体、心が弱っている女の人には、支配し痛めつける男の人がくっついたりする。逆もあると思うけど、ほんとに不思議だと思う。時間が行ったり来たりして読みづらいと感じたが、このまとまらなさが、千紘の混乱なのだと感じた。肯定か否定、善か悪、どちらとも言えない割り切れなさ。

2018/01/29

まちゃ

過去に性的な傷を負った女性作家・千絋は、男性編集者・柴田に「違和感」を抱きながらも惹かれていく。裏切られる不安を抱えながらも惹かれる千絋の不合理な行動と心理を理解することにはできませんでした。しかし、揺れ動く女性の心理描写が上手いなと思います。島本さんの別の作品も読んでみたいと思います。

2016/05/28

黒瀬 木綿希(ゆうき)

【だけど柴田さん。それだけは、さすがにひどい。だって――】 恋人とは言い切れなかった編集者・柴田に向けて刃を向けた作家の萱野千紘。島本さんらしさが溢れている、傷付きやすく過去の経験から心に闇を抱えた女性が主人公。 過去に起きたことを主眼としているため敢えて盛り上がりを避けて淡々とした文体のお陰か、一時間ほどでサラリと読了。柴田には自分のしてきたことが無意味だと自覚しつつ、そこに何かしらの意味を見いだそうとする姿が儚げで痛々しい。最後の文で、裁断は過去の自分を断ち切り、生まれ変わるための比喩だと考えたが…。

2020/05/06

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