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星兎

星兎

星兎

作家
寮美千子
出版社
エフ企画
発売日
1999-05-27
ISBN
9784894192126
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星兎 / 感想・レビュー

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❁かな❁

春の風の強い日、ぼくは「うさぎ」に出逢う。でっかいうさぎのぬいぐるみに見えるけど正真正銘のうさぎ。はじめて会ったあの日のことを思い出す。銀色に光るクラブ・ソーダの王冠。宝石箱のようなガラス張りのドーナツ屋。シナモン・シュガーのドーナツ。淡く光る棒の綿菓子。ふわふわしたうさぎの無邪気な笑顔に涙ぐみそうになる。手を伸ばせばちゃんと触れる。星の光よりも確かなこと。瞬間なのにとっても永遠。「忘れなくてすむんなら、宇宙が終わるまで忘れない」言いそびれた言葉を胸にヴァイオリンをここで弾くから聴いて。切なく美しいお話。

2019/03/17

おかだ

なんだろう、はじめて触れる物語なのに、なんだかとても懐かしい肌触り。少年・ユーリとうさぎが出会い、友達になる。2人は夜を遊び、きらきらと輝いた時間を過ごす。無垢と大人の世界の狭間で、見て見ぬふりの退屈の中で、彼等の思い出は一層美しい。読んでいる間、自分が大好きだった色んなものを思い出した。今はもう失ってしまった、ちっぽけなものだったかもしれないけど。ELLEGARDENの「Missing」という曲、私は好きなのだけど、その歌詞に近いメッセージがある気がした。さまよっては君に出会って、笑ったこと思い出して…

2019/06/21

むぎじる

ユーリがショッピングセンターで出会ったのは、等身大で直立した赤い目を持つ灰色のうさぎ。周りの人々は、見えているのに見ないふりをして行き過ぎる。「ねえ、ぼくとお茶飲みにに行こうよ。」目が釘付けになっているユーリに、うさぎは笑顔で語りかける。「ぼくは、誰のものでもない。ぼくは、ぼくのものなんだから。」誰かの目を気にして作ったものは、うその自分。感謝や感激した心を、自分にとって大事なものを差し出すことで表現するうさぎ。今まで見過ごしていた美しさを見せてくれた、かけがえのない友だち。

2014/05/05

とよぽん

何だ⁉ この読後感。この1冊で、物語作家、寮美千子さんのとりこになってしまった。ふんわりとした心地よさと、ときどき投げられる本質を突いた鋭いフレーズ。今生きているこの世界を、少し離れて見つめてみよう。星兎が導いてくれる。「僕は、誰のものでもない。僕は、僕のものだ。」1998年12月15日、双子座流星群。

2019/03/03

辛口カレーうどん

ヴァイオリンのレッスンに行きたくなくてサボっていた少年は、大人と同じ大きさのうさぎと出会う。 きれいで楽しいだけじゃない、この世界。でも二人の思い出はきれいで楽しくて、きらきらと輝いて、いつまでも消えないだろう。

2015/03/08

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