「びるびるびるびる むるむるむるむる」人気絵本作家・ミロコマチコ最新刊は、不思議な語感と力強い筆づかいで、獣としての本能を呼び覚まされる!
『けもののにおいがしてきたぞ』(ミロコマチコ/岩崎書店)
「ここは けものみち むにむに じょわじょわ くさばなたちがさわいでる」――不思議な語感の一文ではじまる絵本『けもののにおいがしてきたぞ』(ミロコマチコ/岩崎書店)。デビュー作『オオカミがとぶひ』で日本絵本大賞を受賞し、その後、あさのあつこ『バッテリー』にも授与された小学館児童出版文化賞などを受賞し精力的に作品を発表している、注目の絵本作家の最新刊だ。
びるびるびるびる むるむるむるむる ペテペテペテペテ ザーゾーザーゾー あめ あおい
ミロコマチコの描く世界は独特だ。薄暗いジャングルとおぼしき場所にうねる、けものみち。その情景からたちこめるにおい、音、てざわりや空気、そのすべてを短い言葉と力強い筆遣いで表現する。そこで何が起こっているのか、どんなけものが潜んでいるのか、くわしい説明はほとんどない。ほとんどないのに、なぜかわかる。ゆらりと現れる大きな影が放つ獰猛さも、雨うつジャングルに充満するたくさんのいのちの気配も。そう、ミロコマチコが描いているのは“いのち”そのものだ。
動植物の圧…