「小説」が愛おしくなる『本をめぐる物語 小説よ、永遠に』 副題に込められた意味とは?
『本をめぐる物語 小説よ、永遠に』(神永学ほか/KADOKAWA メディアファクトリー)
『ダ・ヴィンチ』に連載していた「本をめぐる短編」から誕生したアンソロジーの第3弾。「小説よ、永遠に」という祈りのような副題をつけたのにはわけがある。
毎月、本や作家、書店等をテーマにいろいろな作家の方にご寄稿をお願いしていたが、15年8月号掲載の藤谷治さんの「新刊小説の滅亡」は、極めてショッキングな内容だった。藤谷さんから原稿が送られてきたときに、「恐らくですが、期待なさっていたのは、このような小説ではないと思います。それでも、本を巡る物語となると、これが頭にこびりついて離れませんでした。とにかく読んでみてください。没もありうると覚悟しています。だけど、よろしくお願いします」とメールに書かれていた。
この藤谷さんが本作を書いた経緯については、 「新刊小説は滅亡について考えた方がいい」(マガジン航)を参照ください
各出版社が文芸誌を廃刊し、新刊小説の刊行を一切やめるというストーリー。本作を読んだ時、危機感と同時に小説に対する深い愛を感じて、そうした作品を集めてアンソ…