アメリカの夜 インディヴィジュアル・プロジェクション 阿部和重初期代表作1 (講談社文庫)
アメリカの夜 インディヴィジュアル・プロジェクション 阿部和重初期代表作1 (講談社文庫) / 感想・レビュー
踊る猫
英語で言うところの「brainy」、つまり「頭脳派」のたくらみに満ちた小説で実に面白い。が、いまの目で読み返すと疲れるのも確かでそれは実に過度に情報が盛り込まれているからだ(あえて比喩的な表現を使うと、この本を読むと頭の中が「チカチカ」してくる)。それに加えて、著者の思考能力の高さゆえか展開がせっかちに変化するのでついていくのが大変でなかなか頭の中を整理するゆとりを与えてくれないという印象をも持つ。いわば著者が大いに学んだと思われる大江・中上や後藤明生、大西巨人の傑作群のコメディの要素を煮詰めたレアな達成
2023/11/10
鷹ぼん
伊坂幸太郎との合作を読んで、「名前は知ってても読んだことないな」と思ってから数年。このところ、阿部和重の文庫が色々と出ていて、これは天の啓示と思い、手始めにこの一冊から。デビュー作『アメリカの夜』、李小龍の截拳道がどうだこうだで始まり、てっきり功夫に関する作品かと思ったら、騙された(笑)。もう一作、いわゆる『IP』は、なかなか面白い。主人公オヌマが幻惑されたように、こっちもすっかり幻惑されてしまう。両作ともに見事に手玉に取られたと言う感じで、敗北感ですらある。ちょっと小難しいけど、クセになりそうではある。
2023/06/26
かすみ
内容が難しく、あまり理解できませんでした。2つの話が収録されており、関連があるようです。
2023/06/04
ソラ
伊坂幸太郎さんとの合作を読んで以来気になっていた作家。 今作については何とも感想が難しいのだが途中引き込まれた部分も多くもう少し他の作品も読んでみたいと思った。
2023/04/01
P_CAPT
「特別な存在」となるべく、自分自身と語り合いながら思弁的になればなるほど自意識の渦に巻き込まれていく。何より抗いがたい出自に関わる「秋分の日」に生まれた事実と、「闇」の時代の到来とを関連付けて、「春分の日」生まれの特別な存在に立ち向かう。象徴するかのように、白と黒、真っ二つに自身を装飾した状態でのラストは、唯生の切羽詰まった狂気さと周囲の冷静さのコントラストはが何とも滑稽で面白い。再読の「IP」は読みやすいが、「アメリカの夜」の序盤は特に読みづらかった。
2023/04/13
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- ISBN
- 9784766002294