小説版 韓国・フェミニズム・日本
「小説版 韓国・フェミニズム・日本」のおすすめレビュー
大反響を呼んだフェミニズム特集が単行本に。日韓・人気作家たちによる豪華短編集!
『小説版 韓国・フェミニズム・日本』(河出書房新社) 2019年、『文藝』秋季号が特集した「韓国・フェミニズム・日本」は大きな反響を呼び、創刊以来86年ぶりの3刷を記録した。『小説版 韓国・フェミニズム・日本』(河出書房新社)は、その特集の単行本化第2弾である。執筆陣には、日本でもベストセラーとなった『82年生まれ、キム・ジヨン』のチョ・ナムジュ氏や、初邦訳となる覆面SF作家デュナ氏らに加え、西加奈子氏や深緑野分氏など日本の人気作家たちが名を連ねる。フェミニズム、日韓関係、差別…これらは決して一朝一夕に語れるものではない。もしかしたら、“フェミニズム”というタイトルを見ただけで尻込みする人もいるかもしれない。ただ、本作はまず、物語を楽しむために手に取ってほしい。フェミニズムの“今”を考える素材となるのはもちろんのこと、それを抜きにしても、日韓の最前線で活躍する豪華執筆人たちによる力作が、一度に12編も読めるのだから。 短編集の冒頭を飾るのは、チョ・ナムジュ氏の「離婚の妖精」(小山内園子・すんみ訳)。韓国のとある2つの家族の、互いの妻と娘た…
2020/8/3
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小説版 韓国・フェミニズム・日本 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
日本の作家6人と韓国の作家6人による競作集。韓国の人の名前はわかりにくいが大半は女性作家で、比較的新しい世代の人たち。完全版は未読なのだが、こちらは小説版。日本の作家たちは、おおむね純文学とエンターテインメントの中間的な立ち位置(ややエンターテインメント小説寄りか)。韓国側は翻訳でもあり、私にはそのあたりのことはわからない。ただフェミニズムを標榜している割には総じて作品が軽い印象である。否、むしろフェミニズムを真っ向から掲げて云々というよりは、それはより自然体で語られるべきもの、という時代になったのか。
2024/04/05
アキ
韓国の作家6名、日本の作家6名のフェミニズム短編集。チョ・ナムジョ、ハン・ガンや西加奈子、高山羽根子など顔ぶれも豪華。いずれえも女性にまつわる結束、化粧、SF仕立ての愛、在日韓国人との友情などバラエティー豊かなフェミニン小説。印象に残った作品は「桑原さんの赤色」松田青子の赤いアイシャドウ、「韓国人の女の子」西加奈子の在日韓国人の思い出、「京都、ファサード」ハン・ガンでの京都の日本人との交流と悔恨、「ゲンちゃんのこと」深野野分のザイニチの悲しみ、「デウス・エクス・マキナ」パク・ミンジュの神は男だった、など。
2020/11/12
アマニョッキ
こんなに好きな作家さんばかりいいんですか?というアンソロジー。初翻訳というデュナさんの作品もとてもよかったし、松田青子さんの書き下ろしも読めて大満足。星野智幸さんの作品も高山羽根子さんのエッセイも、もちろん大好きパク・ミンギュは今回もぶっ飛んでいて最高でした。だけど考えさせられることもたくさん。やはり日本と韓国の間には深くて暗い河があるのかな…
2020/06/03
おたま
日韓の12人の作家による、日韓関係・フェミニズムに関わる小説のアンソロジー。とはいえ、日常に寄り添いながらの小説が多く、決して告発を正面に据えたりはしていない。総じて、日本の作家は日韓の人間関係に焦点が当てられ、韓国の作家はフェミニズムを対象にしている(これも例外はあるが)。私的には、どちらかというと、日本の作家の作品に共感する。『桑原さんの赤色』(松田育子)、『韓国人の女の子』(西加奈子)、『ゲンちゃんのこと』(深緑野分)、『モミチョアヨ』(星野智幸)が良かった。特に星野智幸は『だまされ屋さん』以来で→
2023/09/01
星落秋風五丈原
チョナムジュさんってイケズだなぁ『離婚の妖精』
2021/11/27
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