あきらめる
あきらめる / 感想・レビュー
信兵衛
本作は、あきらめることは決して悪いことではない、むしろ良いことであり、自分を救うことである、と伝えるストーリー。 でも、それを描くために何故SFとして未来に舞台設定し、火星に移住してオリンポス山へ登山しなくてはならなかったのだろうか?と思う処。 しかし、それだけの紆余曲折を得てはじめて得心できた考え様なのか、と思った次第です。
2024/04/13
そうたそ
★★★☆☆ 火星移住が身近なものとなった近未来を舞台に描くユルいSF小説。"あきらめる"とは何か。ユルさの中にも著者らしいメッセージ性の感じ取れる良作だった。
2024/03/28
manabukimoto
近未来、火星移住が選択肢として存在する社会での群像劇。 火星に行った妻に未練たらたらな雄大、同じマンションに住み就学前の挨拶が苦手な息子を持つ輝、雄大の子供で芸術家志望の博士。 生きるために「あきらめる」ことの全肯定。 「自分を明らかにすることは、自分をちっぽけな存在だと残念がることではない。大きすぎると自覚することだ。」p254 この雄大の独りごちが胸につき刺さる。生きることとは「自分を、人生を、時間を、世界を、関わり合った人たちを、あきらめていくこと。」 既存の世界観を変えてくれる力強い小説。
2024/03/31
まり
良かった。
2024/04/21
根岸
ジェンダーや社会規範について考えてる著者ならではの本作。SFという科学的な近未来だけではなく、社会システムや社会通念までもが近未来化して、ジェンダーレスな概念が進んで男女の区別がなくなっていたり、新しい家族の形があったり、と慣れるまで読みにくい部分はあったけれど、ここまで一貫した世界観の本を読むのは初めてだった。大人たちはあきらめることによって、それぞれが抱える問題を明らかにして、あきらめて人生の困難を乗り越えていく。人生を先に進めるために、あきらめることや、手放すことが必要なことはたしかにあると思う。
2024/04/13
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