KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

アメリカの夜 (講談社文庫)

アメリカの夜 (講談社文庫)

アメリカの夜 (講談社文庫)

作家
阿部和重
出版社
講談社
発売日
2001-01-17
ISBN
9784062730570
amazonで購入する Kindle版を購入する

アメリカの夜 (講談社文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ケイ

リズムに慣れるのに時間を要した、リズムに慣れると、バカバカしい若者の凝り固まった青い屁理屈に延々と付き合わさせれるのだが、それが不快でもない。こういう、自己の中で中途半端なまま吐き出されずに溜まった思考エネルギーは滑稽で、痛々しく、結局何も生み出さないまま終わるのだろうが、その着地を見事にしたのは、作者の阿部和重が滑稽な自分を中山唯生にうまく演じさせ、彼が自分に課した鍛錬(それは、まわりをあんぐりとさせるような勘違いから生じたのに)が結局、実を成していたからだろう。最後の唯生のキレ方がロックでよかった。

2015/05/20

yoshida

阿部和重さんのデビュー作品。阿部和重さんの作品は物語に入り込むまで、時間を要する場合がままある。デビュー作品でもあり本作は尚更か。読みやすい作品ではない。狂気と発露と暴走、そしてカタルシス。阿部和重さんの作品に内包する要素が詰まっている。喜代三と撮影現場に向かうところからカタルシスと回収は始まる。この為に阿部和重さんの作品を読んでいると言っても過言ではない。冒頭でのブルース・リーとジークンドーが回収される場面は笑ってしまう。最後の主人公の振れ幅。この狂気とカタルシスを充分に楽しむことが出来た。

2021/02/28

けい

阿部和重さんのデビュー作品。主人公中山唯生は「映画」の世界に自己を置き、唯々思案にふけっている。筆者自身を主人公に投影し、戦う姿勢を明らかにする。序盤は理屈ぽく、こねた文章は読み進めるのに苦労する。我慢して読み続けると筆圧が上がって一気に物語が動き出す。洗練される以前の筆者の文章、少し青臭い印象を受けるが、これはこれで魅力的だった。

2014/03/10

コットン

トリュフォーの同名映画につられて読んでみました。素直だけれど読み手を選ぶ蓮實重彦を少し柔らかくした文体でこの本のリズムに乗り切れなかった感じだったけれど、筆者が映画好きなのがわかり好感触でした。

2017/04/09

Mishima

「映画の人」である主人公が「本の人」になっていった、ということを説明する、としながら、幾つかの物語(例「ドン・キホーテ」)や日常の些末なエピソードを盛り込みつつも、その大凡は、主人公の取り留めのない思考を聞かされ終わる、という読む人を選ぶであろう本。思考面では「春分の日」「秋分の日」などにいちいち意味付けし偏執的なこだわりを見せる一方、日常は単調極まりない主人公の二面性。結末はタイトルの「アメリカの夜」についてが説明されていたが、著者の「映画への薀蓄と思い」を語るための本だったのかな、と。

2016/07/23

感想・レビューをもっと見る