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幼少の帝国: 成熟を拒否する日本人

幼少の帝国: 成熟を拒否する日本人

幼少の帝国: 成熟を拒否する日本人

作家
阿部和重
出版社
新潮社
発売日
2012-05-22
ISBN
9784104180035
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幼少の帝国: 成熟を拒否する日本人 / 感想・レビュー

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ぐうぐう

小説家がノンフィクションを書く場合、ノンフィクション作家がノンフィクションを書く以上の動機と覚悟が必要となってくる。阿部和重が2010年末から1年余りに渡って連載したノンフィクションをまとめた『幼少の帝国』は、日本人の成熟拒否を検証する体(てい)で書かれているが、それが体であることを阿部は冒頭で、さらにはあとがきで念を押すように明かしている。つまりは、社会にある紋切り型を更新するという動機と、ノンフィクションでストーリーを語るという野心がそれだが、読んでみて思うのは、阿部の覚悟のなさだ。(つづく)

2018/05/10

梟をめぐる読書

著者初エッセイにして大失敗作『アブストラクトなゆーわく』の再来。敗戦の屈辱を日本人の「小さいもの」志向と結びつける第一章は強引ながらも作者らしさが感じられワクワクしたが、その後は自分で書くネタもないのかインタビュー形式の章が目立ち始め、しかも取材対象は化粧品の研究員や美容形成外科の某社長。そして最終的な結論はもちろん、予定調和的な「幼形成熟」! これまで「成熟の拒否」という紋切型で語られてきた作家がこれほどまでに「成熟の拒否」というテーマに無関心だった、というのが唯一の収穫。

2012/05/20

daikishinkai

阿部和重さん初のノンフィクション。 第一章では昭和天皇とマッカーサーが並んだ写真を読者に見せ、大人のアメリカ、子供の日本、という対比から始まり、 第二章で技術の小型化、東日本大震災に関しては戦後の復興と重ねたり、仮面ライダー、戦隊ヒーローなどの関係者にインタビューやらを行い、非常に目の覚める本でした。

2017/05/15

なつー

成熟拒否、この言葉からゆとり世代とかアダルトチルドレンのことを評するのかなと漠然と思っていたら、違った。序盤から昭和天皇とマッカーサーの記念写真による天皇神話崩壊の衝撃、自己防衛のための小型化・省エネ化の推進、趣味を卒業せずデコトラ、戦隊ヒーロー文化の蔓延、東日本大震災による再びの敗北…など内容は実に多岐に渡った。こじつけに思える所も正直あるけど、エネルギー問題に対する姿勢は考えさせられた。授業やテレビで教わらなかったことを、少しずつでも自分で調べ赴き考えていかなきゃなー。

2014/12/22

ハチアカデミー

ある種の「偽史」、そうは描かれてこなかった歴史を物語続けた作家が、大きな歴史に直面したドキュメンタルな書籍である。青春の延長としての大人がゆるされる(と、見なされている)現代日本の現状を探るというスタートは、震災によって方針がブレざるを得なくなる。実現不可能な夢想より、現実の解決策が求められる中で、本書が出した答えはやはり「幼い」と思わざるを得ない。だがしかし、我々が、または戦後の「大人」達が描いたものが幼くないと誰が言える。理想だらけの言葉に騙されてきたのはやはり我々なのではないか、と考えさせられる。

2013/09/28

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