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飼い喰い 三匹の豚とわたし (角川文庫)

飼い喰い 三匹の豚とわたし (角川文庫)

飼い喰い 三匹の豚とわたし (角川文庫)

作家
内澤旬子
出版社
KADOKAWA
発売日
2021-02-25
ISBN
9784041109106
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ジャンル

飼い喰い 三匹の豚とわたし (角川文庫) / 感想・レビュー

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trazom

あの高野秀行さんが解説で「奇書中の奇書」と言うだけのことはある。内澤さんが、交配や出産に立ち会い、自ら去勢手術にも挑戦して取得した三頭の豚を、千葉県旭市に廃屋を借りて育て、三カ月後に屠殺場に持ち込み、みんなで食べるまでの克明な物語である。三頭に、伸、夢、秀と名付けて育てる内澤さんに、お世話になった畜産関係者が「なんで豚に名前をつけたんだよ…」と批判する。そこから、人と動物の関係、肉食の意味、動物福祉などの問題を考えさせられる。内澤さんの筆は湿っぽくなく、見事な自筆の挿絵とともに、理性的な姿勢に救われる。

2023/01/30

ニッポニア

さすがの内澤クオリティ。豚を飼う環境を作り、3頭の豚を飼い、屠り、食う、その一部始終を詳細にわたって記述。飛ばし読みできない面白さ。さらに終盤、震災と畜産との関係へ言及し、唸る。以下メモ。人工授精の過保護さ、精液200cc。生まれる子豚の扱い。インドではスタンダード、自分の人糞を食わせる、を試す内澤氏、あまり食べない豚、の件は笑いました。3頭分の料理の段取り。ペットと食べ物の分かれ目は、屠った後、血が流れ高まり出した瞬間。肉食はかわいそう、という意見は所詮人間のエゴ、解釈次第。高野秀行氏の解説も見事。

2022/10/25

booklight

この本を読みながら、なんでノンフィクションが好きなのかわかってきた。結局、その事象と作者の関わりが面白いのだろう。内澤さんはちょっとおかしい。『世界屠殺紀行』で万単位の屠殺を見てきた経験は、屠殺という営為を常識として認識するようになり、そこから「飼い食い」で、あえて境界線に立とうとする。おしゃれも好きで、自己分析もできて、文章もわかりやすい。だから余計におかしさがわかる。自分がおかしいのか、社会がおかしいのか、そもそも人間がおかしいのか。答えはださずに事象を並べる。おかしな人をみているのは面白い。

2023/03/19

itokake

豚を飼い、つぶして、喰う。その最初から最後までを書いた異色ノンフィクション。当時、試食会もあった。行きたかった。世界中の屠畜を取材するなかで、家畜がどう生まれ、どう育つのかに自然と興味が向いたという内澤さん。10年も空家だった元居酒屋に豚3匹と移り住み、飼育場所も一から整えて…、乳がん治療をしながら、お見事としかいいようのない暮らしぶりだった。豚の頭蓋骨と写したポートレートは凄味たっぷり。三元豚は人を見るという。人の話を理解したからこその、あの行動。そして、あの事故。理屈を超えた世界まで垣間見せてくれた。

2022/07/11

デビっちん

何気なく食べている豚肉に真摯に向き合った結果に心打たれました。三匹の豚を種付けから飼育し、屠畜し、食べるまでが描かれたノンフィクションです。舞台となった地名は馴染みがある所で、一層臨場感が沸きました。ノンフィクションで、高野秀行氏に並ぶくらい面白かったです。

2021/03/11

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