ダ・ヴィンチ編集部が選んだ「今月のプラチナ本」は、鯨庭『言葉の獣』
『言葉の獣』(1巻)
●あらすじ● 詩に強い関心を持つ薬研は、詩を書くことを馬鹿にする風潮に憤りを感じていた。ある日、クラスメイトの東雲が言葉を「獣」の姿で見ることができる共感覚の持ち主であることを知り、彼女の導きにより「言葉の獣」が棲むという「言葉の生息地」に辿り着く。「この世でいちばん美しい言葉の獣を見つけたい」という東雲の目的をかなえるため、二人は協力し合うことに。工夫の凝らされた紙の本ならではの仕掛けにも刮目。
くじらば●実在動物と空想動物専門のマンガ家。2018年「千の夏と夢」でKADOKAWA「ハルタコミックグランプリ」を受賞。20年『呟きの遠吠え』にて単行本コミックスデビュー。その他の作品に『千の夏の夢 鯨庭作品集』「ばかな鬼」など。
鯨庭リイド社トーチC 770円(税込) 写真=首藤幹夫
編集部寸評
言葉のグラビティ 薬研と東雲のコンビが、この作品を象徴している。「いつも何描いてるの?」(15P)。薬研のこの一言の前後で、東雲の表情は全く別物だ。「君はいいよ」(17P)。つまり、薬研の言葉は東雲に届くようになったのだ(そ…