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クワイエットルームにようこそ (文春文庫 ま 17-3)

クワイエットルームにようこそ (文春文庫 ま 17-3)

クワイエットルームにようこそ (文春文庫 ま 17-3)

作家
松尾スズキ
出版社
文藝春秋
発売日
2007-08-03
ISBN
9784167717384
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クワイエットルームにようこそ (文春文庫 ま 17-3) / 感想・レビュー

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pino

冒頭の2ページ。アンナモノに胃袋を掴まれるなんて…。ODで閉鎖病棟に搬送された明日香の話。彼女の脳内で患者たちの風貌はコミカルに変換され、尋常でない行動は娑婆で暮らす正常な人たちの狂気の沙汰と照らし合わされる。テーマは重いがスラスラいけた。何かの拍子で心が凸か凹に振りきれてしまい、知らぬ世界にピックアップされた戸惑い、壊れた体を「私じゃない」と言うほどに「あなただ」とペキンと突き返される脱力感。そして構築にむかう高揚感。松尾さんの言葉選びと空間の描写が絶妙。読みはじめは、ヘロヘロの態だったが悪くない後味。

2015/10/10

青乃108号

精神病院の閉鎖病棟、さらにその中の保護室。俺が随分昔に入院してた所では【シェル】って呼ばれてた、それがクワイエットルームだ。読み始めは何だか上滑りするような文体に辟易していたのだか、読んでいるうちに(おお)何か心地よい、っていう気持ちになり、そうそう、こんな感じこんな感じ。と懐かしさも手伝い没頭し、一気に読んでしまった。世間から隔離された閉鎖病棟の中の、狂気が日常化して淀んで便臭にまみれ盗みが横行し部屋に戻ると知らない女が俺のベッドにいて誘惑してくる、そんな世界。正常な人間でも3ヶ月も居れば狂ってしまう。

2022/01/05

GAKU

精神病や精神病院を題材にした小説、ノンフィクションが好きな私に読友さんがお薦めしてくださいました。オーバードーズによって精神病院の閉鎖病棟に強制入院させられてしまった女性、明日香さんが主人公。冒頭からのとても汚いシーンに惹かれ140ページ程の作品、コミックスを読むようにサクサクっと読んでしまいました。色々な症状の女性患者さんが登場して楽しかったです。特に自分の頭の毛を燃やしてしまう、チリチリと呼ばれている患者さんがとても気に入りました。

2017/03/14

ゆいまある

舞台になった病院に、研修医の頃からバイトで行ってました。そして研修が終わって最初に常勤として勤務したのもここで、病棟医になったのがまさにこの女子閉鎖病棟でした。他の病院では保護室に当たる部屋が、この病院ではクワイエットルームと名付けられています。病棟の患者さんの内、約半数がボーダーと摂食障害の閉鎖病棟は全国でもここぐらいでしょう。よって、一般的な精神科病棟とは異なります。この小説が出た頃は私は既に退職していましたが、映画版でのビジュアルも「まさに」という感じで、切なさと懐かしさでいっぱい。

2018/03/07

さっとん

松尾スズキさん初読み。 面白かったですが、それ以上に「なんか凄かった…」というのが正直な感想。 映画も見てなければあらすじも読まずに読み始め、最初の数ページでなんとなく「これは読むのに疲れそうだなぁ」と感じましたが全然そんなことはなく、読めば読むほどに引き込まれていき結局のところ一気読みでした。 映画も観たいし他の作品も読みたくなりました。

2018/02/26

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