老人賭博 (文春文庫 ま 17-7)
老人賭博 (文春文庫 ま 17-7) / 感想・レビュー
めしいらず
著者の本は「クワイエットルームにようこそ」以来。今回も抜群の面白さ。表向きは取り繕ろっていても、本質は他人の不幸をおかずに飯を食らうような、そんなろくでなしばかり。偽善と悪意と疑心暗鬼が渦巻く世界。皆が己が欲望に従順、善人が1人も出てこない。良識ある人なら眉をしかめるこのお話を、ケラケラ笑って読んでいる私だって同じ穴の狢だ。倫理観、道徳観などどこ吹く風、人間の本来持つバイタリティに溢れた愛すべからずな物語。こんな人たちばかりだけど、最後には何だかへんちくりんな連帯意識が漂ってしまうのがまた良いのだよなぁ。
2015/08/28
slowlifer
芥川賞候補作?というより直木賞系。冗長だけどまあエンタメ系だし。退廃的な笑いがベース。それと①~⑤のような時代感覚にマッチした作風が評価されたのかも。①地道に取り組まず一攫千金を狙う(FX取引など、勝てば官軍的な経済活動)②隠れて喫煙し計算高くて腹黒い面もある純情派清純アイドル(中身を磨かずルックスや容姿重視)③シャッター通りが増えた地方都市(人口減少する地方都市)④ギャンブルに勝つため仕事妨害、キャスティングに手心(労働という美徳のよろめき)⑤暴力や恐喝などの犯罪(動機不明で理不尽な犯罪が多発する風潮)
2016/11/12
うさっち
タイトルからして老人がひたすら賭け事する話かと思ったら、老俳優の台詞NG回数を撮影現場のみんなで賭けるという真逆の設定。登場するのは腹黒な人ばかりだし真面目に努力してる老俳優が可愛そうなんだけど、つい笑ってしまう。マチュピチュや信長殿のくだりはずるいわ~。
2015/12/06
ぺぱごじら
三谷幸喜さんやつかこうへいさんなどのテイストに見られる『日本映画的ユーモア』は、面白さは感じるものの、過剰に感情移入してしまうので正直苦手。序盤前半はそんな感じの本なのかなあと思っていたら、段々底意地の悪い話になりながらも、楽しく読めました。文藝界に風穴を開けるという意味では、芥川賞取れれば良かったのにね(笑)。
2012/08/30
阿部義彦
松尾スズキさんの小説。この作品で二度目の芥川賞の候補になりましたが、私的には何故にこの作品が?と思うし本人も取れる気はしなかったんではと思ってしまいます。芥川賞の下読み、大丈夫か?まだ、前作の方が候補には相応しいと思うのだが。作品自体はスラップスティック色がこく、筒井康隆みたいです。すぎむらしんいちさんが漫画化してましたね。こんな変なストーリーを作れると言う才能は認めるが、そんなもんかなーという感じ。いまいち納得出来ない芥川賞候補作でした。
2024/03/30
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- 出版社
- 光村図書出版
- 発売日
- 2023-06-26
- ISBN
- 9784813804383