この名作がわからない
この名作がわからない / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
「文豪作品を読む時、私達は自然と文豪フィルターを掛けて理解しきらないまま、美化しているにではないか」と考えさせられる対談集。小田野氏の物言いは思わず、目が白黒する位、辛口だ。しかし、彼の「好き/嫌いについて、分かりにくい比喩を廃し、理論立てて説明する」という姿勢は比喩と感情に逃げがちな私としては自省も伴い、新鮮に感じました。それに小田野氏は『欲望という名の列車に乗って』のブランチに侮蔑的な文を書いた学生へ怒って女性論の資料を与えて書き直させたり、三島由紀夫の作品でのある場面を夫婦で真似るなど、中々、お茶目
2020/01/12
アキ
名作の男女による読解の違いはあるのだろうが、著者や作品の裏話がたくさん知れて興味深かった。特に「雪国」のモデルや、「ノルウェイの森」のモデル、川端康成とガルシア=マルケスとの関係など。ここで取り上げられた多くの小説をがぜん読みたくなる。ドストエフスキーはロシア正教の作家であり、キリスト教を理解せずに読んでもピンとこないんじゃないかとは小谷野氏の主張。ジェイン・オースティンの方が人間の生きる有様を描いていると。文学を好きになるためにはある程度年をとる必要があるのではという小池昌代氏の意見に賛成します。
2020/08/06
harass
図書館に入ったのを知り借りる。詩人小池との名作や作家についての対談。世間的な認識や見解をさけ個人の主観を交えていく。モデル問題などの細かいゴシップにニヤリとする。著者小谷野の本をいくつか読んでいるのでスタンスがよくわかるせいか、非常に納得がいく。まあ好みの問題になるので、自分と好き嫌いが合致するわけでもない。三島作品についての意見はいろいろなるほどと感じた。無理をしているなあと。それを好ましく思うかどうか。カズオ・イシグロのノーベル文学賞受賞で、春樹の今後の受賞は無理とありなるほどと。
2020/02/24
厩戸皇子そっくりおじさん・寺
楽しい文学談義。肯定的な小池さんと否定的な小谷野さん。しかし小谷野さんが禁煙しているとは知らなかった。
2019/10/24
tonpie
もうだいぶ前から、ストレスが溜まった時に「体に良くないだろうな」と思いながら清涼飲料を飲むように再読してしまう本。一種の「文学放談」だが、文学界に目配りして何かを構築して「文壇」のリーダーシップを取る気などさらさらない潔さを感じる。好きか嫌いかなんて個人の独断に決まってんだろ、でも「何故か」は説明しておこうというスタンス。以下論旨を超訳しておりますので、著者(対談者)たちは格段に上品に語っております。誤解無きよう。↓
2022/01/31
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- 出版社
- 光村図書出版
- 発売日
- 2023-06-26
- ISBN
- 9784813804383