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インドラネット

インドラネット

インドラネット

作家
桐野夏生
出版社
KADOKAWA
発売日
2021-05-28
ISBN
9784041056042
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インドラネット / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

軟弱で頼りない晃(英語もあまり得意ではない)を主人公にカンボジアで繰り広げられる謀略戦。もっとも、晃は終盤近くになるまでそれと気づかないのだが。全体を通してはそんな晃のビルドゥングス・ロマンといった趣きか。ただ、空 知と橙子、藍の設定には無理があり、リアリティを損なうだろう。晃の周辺に現れる人物たちにしても、それが謀略の一環であるとはいえ、不自然感はぬぐえない。そもそも、その謀略自体も胡散臭さを免れないのであるから。最後はそれなりだが、題材が題材だけにエンターテインメントに徹したのは桐野作品にして⇒

2022/10/07

starbro

桐野 夏生は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。表紙とタイトルから舞台はインドかと思いきや、全く先が読めない展開、最後まで楽しめました。著者は、前作の『日没』といい、第二の全盛期かも知れません。今年のBEST20候補です。 https://www.kadokawa.co.jp/topics/5867

2021/06/14

ウッディ

親友の父の葬式で、カンボジアで失踪した野々宮空知とその姉妹を探してほしいと依頼を受けた八目晃は、仕事を辞め、初めての海外に旅立つ。旅慣れない晃は苦労をしながら、人探しを続けるが・・。「深夜特急」を彷彿とさせる海外での行き当たりばったり感だが、自己肯定感の低い主人公のクズっぷりと誰が味方で誰が敵かわからないスパイ小説のような壮大さのアンバランスさ、友情とも愛情とも言えない空知への想い、吉見の死の真相、そしてなりより、インドの話かと思わせるタイトルと装丁など、違和感と消化不良感が残ってしまった。

2021/11/03

utinopoti27

カンボジアで消息を絶った友人を求めて、異国の地を彷徨う主人公。始めは気楽に思えた旅も、次第に泥沼のような闇に支配されてゆく。関わる人物たちは敵味方判然とせず、ほぼ曲者ぞろい。重苦しい不快感に辟易とさせられながらも、主人公の成長を唯一の救いに読み進める。そして艱難辛苦の末、最後はスッキリかと思いきや、そこは一筋縄ではいかぬ桐野作品。ドロリとしたカオスな収束が待っている。本作は、万物の双方向性を象徴するインドラネットになぞらえ、精神の深淵で響き合う魂の帰結を見事に描き切った、まごうことなき『愛』の物語なのだ。

2021/09/01

いつでも母さん

いけ好かない八目晃が危なっかしくて頼りなくて、高校時代唯一の友・空知をカンボジアで捜し出すことが本当に出来るのか、ドキドキしながら旅行気分でページを捲った。少しずつ逞しくなりながらも疑心暗鬼になる晃をいつしか応援していた。(下手したら客死してたよね。)ところがだ、何ということだろう。空知の美しい姉妹との再会から、遂になのだ!変わり果てた厳しすぎる現実を前に言葉がない。ぐぅの根も出ない。嗚呼、ラストはやっぱり桐野夏生にやられてしまった。カンボジアの熱い空気が一気に冷えるような晃の行動に啞然とした。

2021/06/18

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