漱石漫談
漱石漫談 / 感想・レビュー
ケイ
坊っちゃんや猫は反主流派、いや、当然!っておふたりに突っ込む。こころの中の先生に対するこの文章はBLで三島のような文だ…、漱石の方が三島ずっと先なんだが…。おふたりを好きな人が、おふたりの話を聞いて楽しむもので、漱石好きの本読み人がおふたりと一緒に漱石について語るつもりで読んじゃ、こめかみ辺りがピリリ、ピリリときちゃうなあ。猫や三四郎、そしてこころに気を取られると、漱石の中の艶は気づきにくく、特に漫談語りになると、しっとり湿ったものが冷や汗になってくまう。楽しいが、漱石あまり読まな人の方が楽しめるかな。
2021/07/14
harass
この二人による文学漫談の漱石編。この実作家二人はさまざまな小説の内容を、一般のお客の前で前準備無しの漫才風公演を行っている。これは八本の漱石小説のを集めたもの。漱石に惚れ込み先行研究なども読み込んで、各小説の読みどころや漱石の技法などの凄みやツッコミどころなど。実作家からの視点がありなかなか面白い。自分には未読のものが多いがいろいろ納得。漱石作品のテーマの一つに「引きこもり的孤独」。『坊っちゃん』の主人公はやたらに饒舌な印象があるが、他の登場人物にはろくに喋ることもなく、地の文の内面だけで威勢がよいと。
2018/03/12
鱒子
図書館本。この本につられて、漱石をいくつか読んでいる最中です。おかげで、良い意味で、文豪へのハードルが下がった気がします。ツッコミ、童貞キャラや不思議ちゃん探し、何でもやっていいんだ、理解しようとしてマジメにならなくてもいいんだ、もっと楽しもう♪ そう思えるのはこの本のおかげです。
2017/07/24
抹茶モナカ
夏目漱石の作品についてのトーク・セッションをまとめた本。奥泉光さんの『吾輩は猫である』への愛が眩しい。お二方とも、実際に小説を書く方なので、テクスト論を語ったり、作家としての漱石へのアプローチが参考になる。夏目漱石の作品は、難解なものもあって、読むのに怯むものもあるけど、難解だと感じるのは悪くないのがわかって良かった。
2017/07/04
ばりぼー
名作とされているものでも、そんなにマジメに読まなくていい!『こころ』の冒頭で、「私」と「先生」が鎌倉の海辺で出会う場面などは完全にBL。「私」は「先生」が好きで好きで何度も家に行くでしょう。こんなやつがいたら迷惑だというほど(笑)。今ならストーカー規制法で取り締まれるレベルです。下・五十五章で「しかし私がどの方面かへ切って出ようと思い立つや否や、恐ろしい力が何処からか出て来て、私の心をぐいと握り締めて少しも動けないようにするのです。」も、この「恐ろしい力」の中身を先生の男色への傾斜と読むこともできます。
2019/02/01
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- 出版社
- 光村図書出版
- 発売日
- 2023-06-26
- ISBN
- 9784813804383