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買えない味 (ちくま文庫 ひ 14-2)

買えない味 (ちくま文庫 ひ 14-2)

買えない味 (ちくま文庫 ひ 14-2)

作家
平松洋子
出版社
筑摩書房
発売日
2010-12-10
ISBN
9784480427830
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買えない味 (ちくま文庫 ひ 14-2) / 感想・レビュー

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佐々陽太朗(K.Tsubota)

平松洋子さんはカッコイイ。そう、本当にクールだ。平松さんにとって、おそらく日常は決して退屈なものではない。凡人には何気ない日常も、平松さんには彼女にしか見えない側面がある。それは稀有な感覚。静かで地味な日常も、稀有な感覚を持って生きる者にとってはしみじみ感じ入る要素に満ちているものだ。私にとって谷崎潤一郎氏の『陰翳礼賛』に比肩し得る随筆です。出雲・出西窯の砂糖壺と白掛地釉を私も使いたい。

2014/10/15

おくちゃん🌸柳緑花紅

買えない味、取り寄せや外食で美味しい味は買える。私にとって懐かしい買えない味は亡き母が作った炒り豆腐だったりさらっさらのアサリのクリームシチュー。私が子供たちに残せる買えない味は何だろう?平松洋子さんにあこがれます。真似できない事が多いけれどお手本にしたい。日常にあるが見逃している様々な事。ひとつひとつ見つけられたら良いなぁ♪

2014/11/09

fukumasagami

「日常はあまりになんでもない顔をしてそこにいるので、ともすると指のあいだをするり泳いで抜けていく。買えない味は、だから、流れてゆく日々に穿たれた楔のようなものかもしれない。」食材、調理道具や食習慣など食にまつわるものを取りあげ、それらを生かしてきた先人の知恵や自らの工夫を通して、自分を見つめなおして、生活を豊かにしていく勇気がもらえる。

2021/10/03

ユメ

平松洋子さんの暮らしぶりは、真っ白に洗い上げてお日様の下で干した洗濯物のような、さっぱりと気持ちのよい匂いがする。その心地よさは、自らの手を動かして作り上げた、まさに「買えない」もの。しかし、だからこそ真似るのが難しい面もある。日々丁寧に家の中を整える手間を惜しまず、むしろ楽しみ、暮らしに彩りを与えるささやかな工夫をひらめく心のゆとりを持つ。人としてのあり方が問われるとも言える。私などがおいそれと平松さんの矜持に近づけるはずもないのだが、エッセイに記された暮らしの知恵をひとつずつでも実践してゆきたい。

2018/07/09

ダリヤ

せいかつのなかでそだてていく味や物でしかだせないものがある。せいかつのなかでしかきづけないおいしさは、ほんとひびのつみかさねのなかにねむっている。平松さんはそれらにきづきよろこびかんどうし、ていねいにまいにちつみかさねていることが、ことばのすみずみからかんじられる。よんでいて、わたしもひびのせいかつのなかでつかいすてるものばかりにたよるのではなく、わたしのせいかつのなかになくてはならない、ひびいっしょにそだつものをむかえいれたくなった。なにげなくしているつまみぐい。「指も舌なのだった」の一文ではっとした。

2015/12/27

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