買えない味 (ちくま文庫 ひ 14-2)
買えない味 (ちくま文庫 ひ 14-2) / 感想・レビュー
佐々陽太朗(K.Tsubota)
平松洋子さんはカッコイイ。そう、本当にクールだ。平松さんにとって、おそらく日常は決して退屈なものではない。凡人には何気ない日常も、平松さんには彼女にしか見えない側面がある。それは稀有な感覚。静かで地味な日常も、稀有な感覚を持って生きる者にとってはしみじみ感じ入る要素に満ちているものだ。私にとって谷崎潤一郎氏の『陰翳礼賛』に比肩し得る随筆です。出雲・出西窯の砂糖壺と白掛地釉を私も使いたい。
2014/10/15
おくちゃん🌸柳緑花紅
買えない味、取り寄せや外食で美味しい味は買える。私にとって懐かしい買えない味は亡き母が作った炒り豆腐だったりさらっさらのアサリのクリームシチュー。私が子供たちに残せる買えない味は何だろう?平松洋子さんにあこがれます。真似できない事が多いけれどお手本にしたい。日常にあるが見逃している様々な事。ひとつひとつ見つけられたら良いなぁ♪
2014/11/09
fukumasagami
「日常はあまりになんでもない顔をしてそこにいるので、ともすると指のあいだをするり泳いで抜けていく。買えない味は、だから、流れてゆく日々に穿たれた楔のようなものかもしれない。」食材、調理道具や食習慣など食にまつわるものを取りあげ、それらを生かしてきた先人の知恵や自らの工夫を通して、自分を見つめなおして、生活を豊かにしていく勇気がもらえる。
2021/10/03
ユメ
平松洋子さんの暮らしぶりは、真っ白に洗い上げてお日様の下で干した洗濯物のような、さっぱりと気持ちのよい匂いがする。その心地よさは、自らの手を動かして作り上げた、まさに「買えない」もの。しかし、だからこそ真似るのが難しい面もある。日々丁寧に家の中を整える手間を惜しまず、むしろ楽しみ、暮らしに彩りを与えるささやかな工夫をひらめく心のゆとりを持つ。人としてのあり方が問われるとも言える。私などがおいそれと平松さんの矜持に近づけるはずもないのだが、エッセイに記された暮らしの知恵をひとつずつでも実践してゆきたい。
2018/07/09
ダリヤ
せいかつのなかでそだてていく味や物でしかだせないものがある。せいかつのなかでしかきづけないおいしさは、ほんとひびのつみかさねのなかにねむっている。平松さんはそれらにきづきよろこびかんどうし、ていねいにまいにちつみかさねていることが、ことばのすみずみからかんじられる。よんでいて、わたしもひびのせいかつのなかでつかいすてるものばかりにたよるのではなく、わたしのせいかつのなかになくてはならない、ひびいっしょにそだつものをむかえいれたくなった。なにげなくしているつまみぐい。「指も舌なのだった」の一文ではっとした。
2015/12/27
感想・レビューをもっと見る
「平松洋子」の関連作品
ベスト・エッセイ2023
- 作家
- 角田光代
- 林真理子
- 藤沢周
- 堀江敏幸
- 町田康
- 三浦しをん
- 赤木明登
- 阿川佐和子
- 秋田麻早子
- 浅田次郎
- 荒俣宏
- 石田夏穂
- 磯野真穂
- 稲垣 栄洋
- 今井真実
- 上田岳弘
- 内澤旬子
- 内田春菊
- 大辻隆弘
- 小川哲
- 奥泉光
- 鎌田 裕樹
- 川添 愛
- 神林長平
- 岸本佐知子
- きたやま おさむ
- 桐野夏生
- 鯨庭
- 久栖博季
- 黒井千次
- 小池昌代
- 小池真理子
- 郷原 宏
- 佐伯一麦
- 酒井順子
- 佐藤利明
- 佐藤 洋二郎
- 沢木耕太郎
- 沢野ひとし
- 茂山 千之丞
- 篠弘
- 柴田一成
- 杉山昌隆
- 鈴木伸一
- 須藤一成
- 青来 有一
- 関田育子
- 大道珠貴
- 高田郁
- 武田砂鉄
- 田中慎弥
- 中山祐次郎
- 七尾旅人
- 乗代 雄介
- 服部文祥
- 平岡直子
- 平松洋子
- 藤原 智美
- 藤原麻里菜
- 古川真人
- ブレイディみかこ
- 細川護熙
- 細馬宏道
- 穂村弘
- 本田秀夫
- 松尾スズキ
- 三崎亜記
- 宮田珠己
- 村田あやこ
- 村田喜代子
- 森田真生
- 山内マリコ
- 柚木麻子
- 夢枕獏
- 綿矢りさ
- aka
- 出版社
- 光村図書出版
- 発売日
- 2023-06-26
- ISBN
- 9784813804383