あい
あい / 感想・レビュー
いつでも母さん
実在の人物を描くのは却って難しいと思う。だがそこは髙田 郁。あまり残されてはいない妻・あいの事を髙田節で巧く紡いでいると思った。試練とか困難な状況下での女のつつましくも逞しさを描かせたら東西随一ではないだろうか。12人の子をなして、半数を喪う母の辛さが伝わる。ただひたすらに前を向いて歩むのみ!を実践した『夫婦愛』子孫の為に資産を残すものでは無いと言うこの二人が歩んだ道・その愛こそが、子や孫たちが受け継いだことだろう。このような賢い妻には到底なれはしないが自分の行く末の事まで記して逝った妻・あいが愛おしい。
2016/10/15
hiro
読みやすい時代小説、人として非常に好感が持てる主人公、‘双眸’という高田さんが良く使う言葉、そしてお得意の料理の場面など、一言で言って高田さんらしい小説だった。今回は実在の人物、関寛斎の妻あいを主人公にして、あいの一生を描いているが、司馬遼太郎さんが関寛斎を書いた『胡蝶の夢』は4巻であるのと比較すると、350ページでは物足りなさを感じた。もう少しじっくりと読んでみたかったと思う。でも、もう少し待つと『みをつくし料理帖』最新刊『残月 みをつくし料理帖』が発売されるので、そちらを楽しみに待つことにする。
2013/05/30
しゅわ
幕末から明治へと激動の時代を生きた夫婦の波乱の生涯の物語。私欲を捨てて人々の医療に尽くした関寛斎とそれを支える妻・あいのお話です。かなりのボリュームで読むのに時間がかかる?と心配してたのですが、読み始めたらページを繰る手が止まりませんでした。どんな苦難にも前向きに生きる主人公・あいの姿に感銘を受けます。ただ、「高田さん」ということで期待値が高過ぎたのかしら? 実在の人物を描いているせいか?どうしても説明的な記述が多く、大胆な解釈が出来ず淡々とすすんでゆく印象だったのが少し残念でした。
2013/06/06
文庫フリーク@灯れ松明の火
「人たる者の本分は、眼前にあらずして、永遠に在り」‐目先のことに囚われるのではなく、永遠を見据えること‐ヤマサ醤油店主・濱口梧陵の言葉は胸に響く。だが、さらに胸に、涙腺に響くのは、巻末近く夫に告げる「あなたが切り倒した木株の痕にも、あなたの鍬が入るその土の中にも、私は居ます。魂は常にあなたと共にあって、あなたの永遠の本分の中で、私は生き続けます」老いて死期の迫ったあいの言葉。幕末から明治の世。容易に得られた医師としての名声・地位・金銭‐世俗的な利に背を向け、世の利を考える生き方しかできぬ関寛斎。→続く
2013/03/06
かずよ
昔々読んだ、宮尾登美子の「きのね」を思い出しました!どちらも一途に旦那様に仕えた奥様が主役のお話です!どちらもどんな苦難にも、いつも前向きで、芯の強い妻であり、母です!そしてどちらも実在の人物です。あいの失敗をしても、苦難が降りかかっても、物事の良いところを探して、潔く気持ちを切り替えて前に進む生き方がとてもいいです!
2013/09/13
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- ISBN
- 9784813804383