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トラストDE: 小説・ヨーロッパ撲滅史 (文学の迷宮 1)

トラストDE: 小説・ヨーロッパ撲滅史 (文学の迷宮 1)

トラストDE: 小説・ヨーロッパ撲滅史 (文学の迷宮 1)

作家
イリヤ・エレンブルグ
小笠原 豊樹
三木卓
出版社
海苑社
発売日
1993-03-01
ISBN
9784906397044
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トラストDE: 小説・ヨーロッパ撲滅史 (文学の迷宮 1) / 感想・レビュー

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Hepatica nobilis

モナコ王子の情事で生まれたエンス・ポート。愛するヨーロッパの絶滅を企図して彼が結成したトラストDEの暗躍により、ドイツ、ロシア、東欧、イタリア、北欧、と次々に無人の荒野に化していく。その愛憎入り混じった欲望は最終的に欧州全域を無人の荒野に変貌させてしまう。ぞっとするような狂気をブラックユーモアで味付けした不気味な小説。不気味で異様ではあるが、嫌悪感は抱かなかった。今となっては古びた部分もあるが、それが独特なアンバランスを生んでいて逆におもしろい。

2017/06/18

鷹図

モナコ王子の落とし胤、エンス・ボートが立ち上げた「トラストDE(ヨーロッパ撲滅トラスト)」によって遂行された、ヨーロッパ滅亡の顛末を、架空の歴史書の体裁で書いた絶品。愛した女に見向きもされなかったエンスが、その女をヨーロッパ大陸の象徴に見立て、かの国々を灰燼に帰そうと決意する。この狂気の論理は、しかし徹底的な実践を伴うにあたり、一種不当なセンチメンタリズムを感じさせもする。ある意味で究極の「死なば諸とも」小説だが、例えば計画半ばで女と再会するエンスが、万感を込めて女に要求する言葉はあまりにロマンティック。

2012/07/13

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