君のクイズ
「君のクイズ」のおすすめレビュー
なぜ、問題が読み上げられる前に回答できる? 知識量より、“クイズに正解する能力”が必要。クイズ観が一変する小説!
『君のクイズ』(小川哲/朝日新聞出版社)
優勝賞金1000万円がかかった生放送番組「第一回Q-1グランプリ」のファイナリストとなった主人公の三島玲央は、「万物を記憶した絶対的王者」の本庄絆との決勝戦を迎える。あと一問正解すれば優勝となる最終問題が読み上げられる前に本庄絆がボタンを押し、そして優勝する。
なぜ本庄絆は問題が読み上げられていないにもかかわらず正答できたのか? 不正なのか? それともクイズを極めたものが得られる魔法なのか?
本庄絆の優勝に納得のいかない三島玲央は、本庄絆の過去からクイズ歴を調べ、真相を追っていく――。
クイズとは、一切の無駄のない純粋な“競技”である。
小川哲氏の小説『君のクイズ』(朝日新聞出版)を読み終えるとそれまでのクイズ観が一変する。クイズが剣道やボクシングのように、対する者との瞬時の駆け引きと判断力、そして経験から培われる読みと勘によって勝敗が決するアスリートの“競技”だったことを知ることになる。卓越した記憶力だけでなく、論理的な思考と技巧によって「クイズ」は競われていたのだ。
主人公の三島は言う。クイズとは知識…
2022/11/16
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『汝、星のごとく』(凪良ゆう/講談社)
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2023/4/12
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君のクイズ / 感想・レビュー
ヴェネツィア
クイズをモティーフにして小説1冊を書き上げるのは、なかなかの荒業。緊張感が最初から最後まで途絶えることがない。それは、クイズというものが本来的に持っている力であったともいえる。もっとも、さすがに三島玲央というクイズの練達者とショウマンシップに溢れた本庄絆の二人の対立項を軸にする構成が必要だった。クイズ番組はもう何年も見ないのだが、いつの間にかこんな域にまで達していたのかと驚く。語り手でもある三島の分析は、ほぼ今のクイズの実態を反映しているものと思われる。そして、同時にクイズがTV番組になるためには⇒
2023/09/26
Kanonlicht
生放送のクイズ番組の決勝戦最終問題、対戦相手はどうして問題を1文字も聞くことなく正解できたのか。常識的に考えて不可能と思われる事象に対し、少しずつ論理を積み重ね真実を追及していく過程が秀逸。クイズの回答から人生を振り返るというと、どうしても映画『スラムドッグ$ミリオネア』を思い出してしまうけれど、構成はよりシンプルにし、クイズプレイヤーのメンタリティを丁寧に描いたことで、物語としてきれいに完成されていると思った。なによりこの著者、SF以外もいけるじゃないかというのがうれしい驚き。
2022/10/09
starbro
小川 哲、2作目です。王様のブランチBOOKコーナーで紹介されたので読みました。クイズ小説自体初読、Q1-グランプリのチャンピオンとAIが対決したら、どちらが勝つでしょうか❓ https://publications.asahi.com/news/1803.shtml
2022/11/12
bunmei
クイズ番組を席巻しているクイズ・プレイヤーを主人公にした、斬新な設定の物語。クイズの謎解きだけに留まらず、不可能と思われるある事案の謎にも挑戦する、ミステリー要素も加味された作品。クイズ・プレイヤーの世界観に触れることで、解答に向けての感情コントロールや瞬時の判断力、先読みのテクニック等が生々しく描写された、興味深い作品。その事案というのが、生放送のクイズ番組の決勝戦で、問題が一文字も読まれる前に解答し、正解したこと。その真相の裏には、現代社会に生きる若者の世相を、大きく反映していると言える。
2022/11/06
射手座の天使あきちゃん
優勝賞金 1,000万円を賭けたクイズ『Q-1 グランプリ』の最終問題で、あろうことか問題文が読まれる前に本庄絆に正答されてしまった三島怜央。 はたしてこれはヤラセかそれとも必然か? 三島怜央は、この不可解な謎を解き明かすため、本庄絆の過去のクイズ番組の映像を分析し始める。そして見えてきたものは、本庄絆のクイズプレーヤーとしての思考回路と歩んできた過去の歴史だった。 久し振りに新しいタイプのミステリーに出会えました。面白かったです。
2024/01/08
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