「この指が覚えていた」―背徳感や恍惚感がエロい女に燃え上がらせる!セックスだけで終わらない、60の官能作品
『性を書く女たち』(いしいのりえ/青弓社) ちょっと覗き見たいという好奇心でこの本を手にとる人も多いだろう。女が書いて女が読むエロスの世界…官能小説を書く女性たちが、どんな人なのか? どんな生い立ちなのか? その作品は? と、あらゆる想像を膨らまし、興味本位で期待してしまうからだ。しかし、その立ち読み感覚の下心はあっさりと裏切られる。『性を書く女たち』(いしいのりえ/青弓社)に紹介されている9人の女性作家へのインタビューと、60におよぶ官能作品は性愛を超えるほど衝撃的なものだった。
自分でもコントロールが難しい「性」という本能。心の制御装置が壊れると理解しがたい行動に出たり、傷つけたり、孤立したり、人間を翻弄させる厄介な欲望だ。「性」を題材にした女流作家たちは、男性作家とは違った目線で官能を捉えている。デフォルメされたキャラクターや願望が先行する設定で性欲を満たすというのが男性モノだとすると、女性作家の作品は、母、妻、嫁、と肩書で抑えられてきた欲望が、妄想とリアルの間に生々しく表現されているのだ。その背徳感や恍惚感に女のうちなる炎を燃え上がらせる…