なぜプロレスラーはわざわざ痛い思いをして闘うのか?<プロレスラー・鈴木秀樹×小説家・黒木あるじ対談>
(左)黒木あるじ氏(右)鈴木秀樹氏
蟻地獄――。鈴木秀樹の試合を見ると、そんな言葉が脳裏をよぎる。
ビル・ロビンソンから伝授された確かなレスリング技術で、序盤から相手選手をじわじわと自分のペースに引き込んでいく。そして一度、鈴木のペースにハマってしまうと、相手選手は抜け出すことができず、自分のレスリングを見失う。そこを一気に仕留める。ときに残酷な闘いぶりは、見る者をゾクゾクさせる。それが鈴木秀樹というレスラーだ。
そんな鈴木に魅了された小説家がいる。怪談のスペシャリストとして知られる、黒木あるじだ。筋金入りのプロレスファン。2017年3月からおよそ1年間にわたり、『小説すばる』でプロレス小説「掃除屋(クリーナー)」を連載し、プロレス界の光と闇を見事に描いた。
プロレスラーと、小説家。相反する職業の二人に、お互いの著書について、そしてプロレスの“答え”とはなにか、語ってもらった。 ※取材日:2017年9月13日
黒木あるじ(以下、黒木):鈴木選手の試合を初めて生で見たのは2014年。地元の山形でおこなわれたZERO1の大会でした。大仁田厚選手がメイ…