森山未來「学術的な視点から精神性に響く。僕はそういうふうに世界を見たい」
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、森山未來さん。 (取材・文=河村道子 写真=西村 康)
気が付けば今年、関わった作品も自身が創ったものも、生と死の端境を扱った作品で溢れていたという。 「そんななか、“次、これですよ”と人から貰ったのがこの本でした。最近、サスティナブルという言葉が流行っているけど、本当のところのそれを考えなければと思っていた頃でした」 消費されたものは再び生産へ変化していく。それを陰で担っているのが分解であり発酵、腐敗。 「分解者というものが、どこの立ち位置にあるのかということが考察されている。生態学的なところのそれについてはもちろん、掃除のおじさんが家庭ゴミを組み立て直し続けた話、帝国の形態とその腐敗、フレーベルの積み木の哲学など、様々な観点から“分解、腐敗とはどういうことなのか”ということを取りあげているのが、魅力的だと思いました」 本書の語る“分解”は、古くは宗教、現在は科学に光を見出し、“死”というものから距…