本書には作家やミュージシャン、タレント、スポーツ選手など様々なジャンルの著名人68名がこの問いをテーマにエッセイを寄せている…のだが、まずは顔ぶれがすごすぎるのでその迫力を感じてほしい。以下、無粋だが掲載順にお名前を列挙する（敬称略）。

佐藤愛子 村松友視 川本三郎 安田菜津紀 宮本輝 中島京子 山下洋輔 華恵 養老孟司 尾形真理子 岸惠子 島田雅彦 江國香織 石黒浩 綿矢りさ 藤永茂 平松洋子 つんく♂ 小川洋子 白岩玄 山田ルイ53世 酒井順子 鷲田清一 高橋慶彦 武田綾乃 角田光代 ロバートキャンベル 下重暁子 レンタルなんもしない人 本上まなみ ブレイディみかこ 西村淳 川上弘美 はやみねかおる 稲垣えみ子 鴻上尚史 村田沙耶香 住野よる はな 吉田類 宮下奈都 万城目学 北川悦吏子 加藤千恵 福岡伸一 片岡義男 ヤマザキマリ 堂場瞬一 植草美幸 小山薫堂 柚木麻子 田中俊之 森絵都 石田衣良 森永康平 玄田有史 町田そのこ 小川糸 羽田圭介 藤崎彩織 みうらじゅん 吉本ばなな 松浦弥太郎 三浦しをん 荻原規子 松任谷正隆 町田康 辻村深月

　これだけの個性豊かな顔ぶれがそれぞれ「幸せ」について書いているわけで、その幅の広さを感じないわけがない。「あ、この幸せわかるー！」「私と同じだわ」と筆者に共感するエッセイもあれば、「そんな考え方もあったか」「気が付かなかった」と発見をもたらしてくれるエッセイもあり。

　一冊の中に様々な「幸せのカタチ」がぎゅっと凝縮されているので、気づきもたくさんなら、思わず自分を振り返ったりできるのもこのテーマの面白いところかもしれない。なにより名文家揃いなので、短いながらさらりと印象的な文章が集まっているのもうれしいところ。珠玉のアンソロジーエッセイ集としてしっかり楽しめる。

　ちなみに、なぜこれほどまでのエッセイが集まったのかといえば、本書はドライバーの心強い味方・JAF（一般社団法人 日本自動車連盟）の会員誌『JAF Mate』で2017年から続いてきた人気連載に書き下ろし4篇を加えてまとめたものだからだ（上記の顔ぶれの荻原規子さん以下4名分が書き下ろしだ）。なんと発行部数が約1,350万部と桁違いなだけに、これほどの顔ぶれが集まったのも超納得。そしてこうしてまとめて読むことができるのは、まさに「幸せ」なことに違いない。

文＝荒井理恵