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日本の反知性主義 (犀の教室)

日本の反知性主義 (犀の教室)

日本の反知性主義 (犀の教室)

作家
内田樹
赤坂真理
小田嶋隆
白井聡
想田和弘
高橋源一郎
仲野徹
名越康文
平川克美
鷲田清一
出版社
晶文社
発売日
2015-03-20
ISBN
9784794968180
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日本の反知性主義 (犀の教室) / 感想・レビュー

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ねこさん

反知性的であることとは、理知的な振る舞いをしない、感情的な所作の性向とは異なる。他者の正当性や言行の矛盾を解釈し、隠れた利得を指摘し、自らの怒りを正当化するには、情報を蓄積し、構成し、言語化する能力が要るが、果たしてそれを知性と言えるのかどうかという問いでもある。二極化した構造を前提に自らの立場を弱者側に置いて義侠心にかられている時、対話は拒絶され攻撃は目的化してしまう。知性とは、他者の立場を慮り、その言動を「わからない」ものとして扱わないこと、耳を傾けて彼岸の歴史を学び、対話を続ける忍耐と努力に思える。

2018/04/09

壱萬弐仟縁

ロラン・バルト:無知とは知識に飽和されているせいで未知を受容できない状態(020頁)。反知性主義の本質:長い時間の中に己を位置づけるため想像力を行使することへの忌避、同一的なものの反復で時間の流れそのものを押しとどめようとする努力(060頁)。反知性主義の核心:知性の本質的な意味での働きに対して侮蔑的で攻撃的な態度を取ること(067頁)。マックス・ウェーバーは左翼ではないが、自民党の佐藤議員は民主党の仙石議員に暴力装置発言で批判している。事実を勉強しないでいて、政治家は務まらないことの例(095頁)。

2015/06/15

けぴ

白井聡/A層=構造改革に肯定的でIQが高い、B層=構造改革に肯定的でIQが低い、C層=構造改革に否定的でIQが高い、D層=構造改革に否定的でIQが低い。現在の安倍晋三はB層を支持層として、「今、ここ、自分」という反知性的な政治を行っているとの指摘はなるほどでした。平川克美/ドイツがナチスを戦犯として明確に位置づけたのに対して、日本は戦犯を靖国神社に祀って、戦争が地震や水害などの天災ででもあったかのように扱う。躊躇いなく参拝する安倍晋三。今だけ、ここだけ、自分だけの自民党政治の危うさを指摘する好著。

2020/03/28

おさむ

5年ほど前に「反知性主義」という言葉が流行りました。その後、あんまり使われなくなったのは、この言葉が様々な解釈ができるうえ、上から目線の印象が否めないからだ。いや、トランプ大統領の登場によって、もはや知性主義なるものが崩壊したからなのかもしれない。内田樹先生をはじめとする著者たちのスタンスは総じて慎重で、安易な解釈のもたらす恐ろしさを自覚しているように見えます。「集合痴」に陥らないためにも、自分が何も知らない事を自覚して考え続けることと、身体を動かすことの2つのルーティンはやめてはならないと感じる。

2019/05/30

みねたか@

個性的な10人の論客。真向から反知性主義に向かう論や、知性的とは?という問いを探求する論など,それぞれの個性が発揮され十人十色の面白さ。バラバラのようでいながら,高橋源一郎と赤坂真理は全く異なるアプローチから男性という生きづらさという点に収れんされたり、アカデミズムの世界について白井聡と仲野徹が文系理系双方の視点から警鐘を鳴らすなど,微妙なシンクロ具合も楽しい。最後の鷲田先生はエリオットとオルテガを引用しながらしっかりと格調高く締めていただいて,1冊で何度もおいしい。

2019/07/29

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