仕事本 わたしたちの緊急事態日記
「仕事本 わたしたちの緊急事態日記」のおすすめレビュー
美容師からIT企業社員、書店員、パン屋まで。77人のコロナ禍日記アンソロジー『仕事本』――どう過ごしたのか?
『仕事本 わたしたちの緊急事態日記』(左右社)
『仕事本 わたしたちの緊急事態日記』(左右社)は、様々な職業の老若男女77人が、コロナ禍をどう過ごしたかという日記を綴ったもの。いわゆるアンソロジー本と言っていいだろう。小説家の町田康を筆頭に、有名人の日記もいくつか含まれるのだが、評者が惹かれたのは市井の人々の非日常のほうだった。
ひとりにつき6ページ前後の日記を読んでまず感嘆したのが、世の中には実に沢山の職種があり、それぞれに立ち向かう現実があることだ。馬の調教師、水族館職員、台湾の蕎麦店の経営者、夫婦問題カウンセラー、女子プロレスラー、ホストクラブ経営者、精神科医、占星術家等々。
今回の場合、医療従事者の過酷さには目が行くが、例えば、評者はごみ清掃員の辛さを想像できなかった。感染リスクが極めて高く、「使命感と義務感の狭間で仕事をしている」と彼は記す。違反ゴミを出され、分別されていないゴミの袋を掻き分けてゆく、とも。
葬儀社スタッフも例外的な案件に出会う。コロナで逝去した可能性のある遺体は検査され、結果は結局肺炎だった。一安心という向きもあったが、…
2020/7/23
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仕事本 わたしたちの緊急事態日記 / 感想・レビュー
pohcho
緊急事態宣言が出された4月のいろんな人の日記。全部で77人、60種もの職業の方がいらっしゃって、サラリーマンの家のことしかわからない私は、知らない世界を垣間見るような気持ちで読み進めた。ゴミ清掃員の方の言葉はとても身につまされた。仕事を辞めて留学するはずが駄目になった人もいる。コロナが発端の夫婦喧嘩で殺人事件まで起こっていたとは驚き。Zoom飲み会に誘って欲しい人は笑ってしまった。あつ森にはまっている人は可愛かった。皆さん、今頃どうしていらっしゃるのか。続きを読んでみたい。
2020/09/23
kou
イロイロな職業の事が知れて、興味深かった。特に、ゴミ清掃業者は、あんなに命の危険と隣り合わせとは思わなかった。それと、どの職業の人もコロナに対する恐怖や不安、怒りを書いていたのに、文筆家の人だけ、「何故、自分だけオンライン飲み会に呼ばれないのか?」を書いていて、笑ってしまった。オチも最高(笑)。ただ殆ど関東圏の人達ばかりだったので、地方や離島の人達の日記も読んでみたかった。
2020/10/12
山田太郎
また緊急事態宣言出たし、なんだかまだ苦労続きそうなので、読んでいてつらいというか現実あんまりみたくないなと思いつつ読む。医療関係者というか実際に治療してる人すごいなと尊敬する。のんきに忘年会したりする人どうにかならないものかと思わないではないけど、飲食関係者はたいへんだろうからどうしたものかと思った。
2021/01/09
てつJapan
【とても良かった】・ 緊急事態宣言が出たくらいから4月末までの間を、パン屋、メディア、プロレスラーなど様々な人が日記に記す。ホストクラブやライブハウスなど,あの時期たたかれていた人が何を考えて生活していたのかもわかる。 ・ 戸惑いや前向きな気持ち、毒など、感じた気持ちをありのままに記す。自身が当時かんじたこととリンクしてささやかなうれしさを感じる。 ・ この本に、「新しい世界」や「イマ〇キ」など上っ面の言葉はありません。
2020/11/05
Shimaneko
さまざまな職種の働く大人が綴った2020年4月の生活スケッチ。プロの物書きばかりじゃないので、決して読み易くはないところがまた、よりリアルで生々しい。序文にあるとおり「ひとつの仕事は、誰かの生活につながり、その生活がまた別の人の仕事を支えている」ことを痛感する日々だけに、有意義かつ貴重な記録だと思う。定点観測的に続編もお願いしたい。この4月は自分的にも、人生初のがん告知からの手術・入院とゆーまさに緊急事態だったし、「ぱたぱたと日常が閉じていく感覚」(p.087) は年末近い今も続いてるのだった。
2020/12/11
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