菊亭八百善の人びと (新潮文庫)
菊亭八百善の人びと (新潮文庫) / 感想・レビュー
ミカママ
宮尾さんが女性の一生を描いたものに、ハズレなし、のはずだったんだけど、これを書かれたときにはご高齢(?)で、最後まで体力がもたなかったのか?と穿ちたくなる作品でした。宮尾さんには珍しく、不倫の匂いをプンプンさせたのはちょっとドギマギしましたが。これだけ長編で引っ張ったのに、ラストこれですか?みたいな。主人公が何をしても中途半端で、感情移入ができなかったのも、敗因のひとつ。残念。
2014/11/12
saisan
大好きだった宮尾登美子さん。遥か昔、櫂に始まり春燈、朱夏、仁淀川と貪るように読んだ。それらに較べると小粒で物足りない。ヒロインが余り好きではなく、しゃっきりして細腕繁盛記らしいところをみせて欲しかった。板長とのプラトニックラブが妙に生臭いし。それでも途中で読みやめようとは思わなかったが。店を盛り立てていく姿を期待していたがその前に終わっちゃったなー。皆さんのレビューを読んだら私と似たようなかんじ。さもあろう。
2014/04/22
エドワード
江戸時代に創業し震災と戦争で休業していた江戸随一の料亭、八百善が戦後再開した。サラリーマンの次男、福二郎に嫁いだはずの汀子の人生は激変する。客商売は全くの素人、一筋縄ではいかない使用人たちに忙殺される汀子の心の支えは若い板長、小鈴への秘めた思いだった。老舗の経営は難しい。変わる時代の中で、伝統を守れば客足は伸びず、時流を追えば名が廃ると嘆かれる。江戸の粋に固執する八代目了二と昼行燈のような福二郎も、視点を変えれば違った人物像になるだろう。船頭多くして船山に登る。ゆっくりと傾いていく八百善に滅びの美を見る。
2016/06/22
そうたそ
★★★★☆ 結構な分厚さに読むのを躊躇していたが、ようやく読めた。歴史ある料理屋であるが、戦争の間閉店を余儀なくされていた八百善。そこへ嫁いだ下町育ちの汀子が、戦後、店の再興のため奮闘する姿を描く。八百善という料理屋自体は実在したらしく、きっちり調べ込まれて書かれているのだろう。面白いのはやはり店が軌道に乗り出す中盤。途中からは、不穏な恋も絡んできたせいか、後半はやや失速気味に思えた。再興を目指すも、時代の波に抗えない老舗、というのはリアルなところ。スッキリする話とは言えないが、読み応えある傑作だった。
2023/09/22
ううち
時代小説好きには言わずと知れた有名料亭『八百善』の人たちお話。輝かしい時代を知っている人が伝統伝統といっても上手くいかないもんですね。 嫁に来た汀子の頑張りは物語としては今ひとつなのかもしれないけど、時代を考えたら現実的かも。内容は結構ドロドロ系なのに爽やかに読み終えた。
2018/12/16
感想・レビューをもっと見る
「宮尾登美子」の関連作品
〆切本2
- 作家
- 森鷗外
- 二葉亭四迷
- 武者小路実篤
- 北原白秋
- 石川啄木
- 芥川龍之介
- 横溝正史
- 小林多喜二
- 丸山眞男
- 水木しげる
- 山崎豊子
- 田辺聖子
- 赤塚不二夫
- 高橋留美子
- 穂村弘
- 福沢諭吉
- 源氏鶏太
- 山本有三
- ドストエフスキー
- 夢野久作
- 石川淳
- 山本周五郎
- 太宰治
- 松本清張
- 梅棹忠夫
- 安岡章太郎
- 井上ひさし
- 宮尾登美子
- 向田邦子
- 川上弘美
- リリー・フランキー
- 川上未映子
- 町田康
- 萩原朔太郎
- 滝井孝作
- 深沢七郎
- 五味康祐
- 小川国夫
- 吉村昭
- 校條剛
- 團伊玖磨
- 河野多惠子
- 五木寛之
- 片岡義男
- 堀辰雄
- 椎名誠
- 平出隆
- 村山由佳
- さくらももこ
- 神近 市子
- 岡本かの子
- 今井 邦子
- 宇野千代
- 中條百合子
- 美川 きよ
- 平林たい子
- 子母澤 寛
- 川端康成
- バルザック
- 辻 佐保子
- 辻邦生
- 田中小実昌
- 澁澤龍子
- 澁澤龍彥
- 赤川次郎
- 中島らも
- 三浦しをん
- 野間宏
- 木下杢太郎
- 笹沢左保
- 筒井康隆
- 江口寿史
- 松尾豊
- 冲方丁
- 井上靖
- 室生 朝子
- 室生犀星
- 大庭 みな子
- 伊集院静
- ハルノ宵子
- タモリ
- 野坂昭如
- 堀道広
- 出版社
- 左右社
- 発売日
- 2017-10-07
- ISBN
- 9784865281774