「ひとつの時代が終わったという感じで淋しい」鬼才・野坂昭如氏の訃報に悲しみの声
『火垂るの墓』で知られる作家・野坂昭如(のさか あきゆき)氏が、2015年12月9日(木)に心不全のため亡くなった。享年85歳。原作は読まずとも、アニメーション映画は日本中が観ており、このたびの野坂氏の訃報に悲しみに暮れている。 1930年に神奈川県鎌倉市で生まれ、産後間もなく母親を失い、神戸に養子に出された野坂氏。1945年、当時まだ15歳だった頃に起きた「神戸大空襲」により養父までも失い、さらに、疎開先では義妹までを亡くすという辛い経験をした。義妹が亡くなったことに対して、ずっと苦しみを感じていた野坂氏は、この体験を元に『火垂るの墓』を書き記し、罪を贖おうとしたという。 阿木由紀夫という名前で放送作家として活動していた一方、1963年に『エロ事師たち』で作家デビュー。1967年に『火垂るの墓』と、戦後の焼跡闇市を題材にした短編小説『アメリカひじき』で直木賞を受賞した。戦後の焼け跡の中でも、底抜けに明るい民衆達を描いた野坂氏の独特な作風や文体は、水上勉や松本清張ら審査員を唸らせ、“鬼才”とも呼ばれた。
その後も『戦争童話集』など、自身の体験…