酔っぱらい読本 (講談社文芸文庫)
酔っぱらい読本 (講談社文芸文庫) / 感想・レビュー
メタボン
☆☆☆ 酒にまつわるエッセイのアンソロジー。やはり太宰治「酒ぎらい」の支離滅裂ぶりが印象強い。若山牧水の遺体が綺麗だったのは生前からアルコール漬けになっていたのか「大岡信・或る主治医の記録」。大阪の手品バーが何とも興味深い「江國滋・マジック酒場の一夜」。
2022/05/12
奏市
文豪たちが書いた酒に関するエッセイ、詩などのアンソロジー。世に出た当時は七巻まであり人気のシリーズだったらしい。気軽に笑える話から文学論のような小難しい内容まで様々。その為飲みながら読めるのと飲む前に読まないとわからないのとが混在。後者は埴谷雄高『酒と戦後派』とか。江國香織さんのお父上の文章を初めて読んだ。マジックの話で面白くて笑った。安岡章太郎『葡萄畑の精霊』も好み。昔のフランスの田舎では小学生がワインを持って登校したと。母親が止めようとしても婆さんが喉が渇いて困るだろうにと薬瓶にこっそり忍ばせたと。
2023/04/09
こかち
贅沢アンソロジー。あの人もあの人もあの人も…名だたる文士たちの飲んで飲まれてエッセイです。これがもう、秋の夜に飲みながらちびちび読むのが最高なんです。酒飲みさんには絶対オススメしたい本です。昼からビールとか、旅酒とか、太宰の宅飲みとか、これ読んで飲むの我慢できるわけない!お行儀悪いことなのにどれも品がある文章で、昔の人の文章ってやっぱりいいなぁって思います。
2018/09/27
おおた
酔っぱらいはみんなばかだなあ。なんといっても丸谷才一の出だし「日本人はアル中にならない」がばか丸出しである。タイトルからして愚かな『「泡はビールなりや否や」事件』は戦時中の政府がいかにくだらないことで目くじらをたてていたかが描かれる。一方で大岡昇平のように酔っぱらった友人を寿司に誘ったら「なにをっ」と怒鳴られたくらいでそそくさと雑踏に消えちまうなんてのは下の下である。1ページに1度「おからでシャムパム」と唱えながら晩酌に猫がいないことを嘆く内田百けんを見習ってもらいたいものだ。
2015/09/08
mawaji
初っ端の「朝酒」を読んでいて既視感に襲われ、たぶん底本のほうを学生時代に読んでいた模様。酒品を褒められることはついぞなかった飲酒生活を過ごしてきましたが、埴谷雄高「酒と戦後派」では学生時代に酔っ払って本郷菊坂を下る途中、学友の間借りしている部屋の明かりに吸い寄せられたことを思い出しながら読みました。「酔っぱらいを苛らだたせなくするのが酔っぱらっていないものの義務」というのはちょっとわかるような気もしますが今となっては顰蹙ものでしょう。コロナ以降しらふの日々ですが、在りし日の飲酒の日々を思い出しながら読了。
2021/05/09
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- 河出書房新社
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- ISBN
- 9784309416144