三島由紀夫がひた隠しにした出自のコンプレックス/炎上案件 明治/大正 ドロドロ文豪史②
日本文学史に残る数々の名作の裏には、炎上があった…! 不倫やフェチ、借金、毒親、DVなど…文豪たちは苦しみながらアノ名作を残した。炎上キーワードをひもとき、彼らの人生の一時期を紹介する『炎上案件 明治/大正 ドロドロ文豪史』(山口謠司/集英社インターナショナル)から、5つの炎上案件を掲載!※本記事は 山口謠司 著の書籍『炎上案件 明治/大正 ドロドロ文豪史』から一部抜粋・編集した連載です
『炎上案件 明治/大正 ドロドロ文豪史』(山口 謠司/集英社インターナショナル)
三島由紀夫の誇示 ひた隠しにした出自のコンプレックス
イラスト:三浦由美子
世間では三島のことを貴族だといい、貴族に間違いないことを信じている。本人もそれを信じ、敢えてそのようにふるまってきたところから、間違いがはじまっているように思えてならない。平岡家の分家三代目の彼は貴族であっても、初代の祖父、定太郎は貧農出身の成り上がり者であることを、彼は知りつくしておりながら、とことんまでそれをかくし通し、優雅な家系のように誇示したあとが気になる、胸の底にうごめく貧農コンプレックスを、貴族のポ…